毎晩「おとうさん、えほんよんで!」と沢山の絵本をベッドに持ち込まれるけど、1分以上読んだことなく、「おーきーてー」が子守唄のように眠り、朝まで目が覚めません。
いつもセロトニン満タンです(^o^)
<呼吸を取り戻す場所 ― 茶の湯という日常>
茶道の世界に足を踏み入れたのは、35歳のときでした。
当時、建築の仕事をしていた私は、茶室の設えや空間美に惹かれたことがきっかけで、お茶のお稽古を始めました。単純な興味から始まった茶道との出会いでしたが、それから気がつけば、25年もの時が流れています。
住宅営業という仕事は、お客様の夢の暮らしを形にするやりがいのある仕事でした。
一方で、売上のノルマや建築現場でのクレーム対応に日々追われ、いつも心がせわしなく揺れていました。
そんな私にとって、週に一度、茶室に入る時間は、まるで初めて呼吸を取り戻すような感覚でした。
薄暗い茶室には、釜の湯がさわさわと沸く音と、障子越しの柔らかな光だけ。
そこには「もっと欲しい」「ここから逃げたい」といった執着や不安が存在せず、ただ静けさの中に、自分の呼吸がありました。
先生がよく言われた言葉があります。
「茶の湯とは、人生に“ユーモア”を持ち込む稽古です。ユーモアとは、知恵と思いやり。知恵は知識と経験から生まれ、思いやりは想像力から生まれるのですよ」と。
25年、稽古を重ねてきた今、少しずつその意味が腑に落ちてきました。
同じ出来事でも、知識と経験と想像力があれば、その解釈は自由で、ユーモアのある受け応えができます。
かつては茶室でしか感じられなかった「呼吸」が、今では日常の中でも感じられるようになりました。
茶の湯は、現実から逃れるための静寂ではなく、
浮世を”生き生き”と生きるための静寂です。
その学びと気づきを、暮らしの中に持ち帰ることができたとき、ようやく私は、茶の湯の本当の魅力に触れたのだと感じています。
今日も一日、楽しみましょ!